【特別企画】 ふくはうち

「ふくはうち」という企画に参加している。Googleで検索すると変換予測にあがるくらい著名なブロガーに囲まれて至極恐縮なのだが、肩肘はらずに書こうと思い、早速Gutenberg(ワードプレスの現行エディタ)をダウンロードして操作がわからなくなる。前途多難、このエントリーは無事に終着を見るのか。

※この企画については、第一走者のオボイストさんが鬼のような速度でまとめてくださいました。その胆力たるや本当に見習いたい…

さて、前回の筆者である「ダイキ」さんからバトンをいただいたわけであるが、ダイキさんとは一度、「第二回オボイスト会」にてご一緒した仲でもある。おそらく歯牙にもかからないこのノータリンにバトンを渡すなど、ご本人のブランディングに傷がつかないかとヒヤヒヤしていたが、今のところ私に脅迫めいた連絡は来ていないのでホットしているところである。ちなみにコーヒーはアイス派だ。

さて、ダイキさんについては、モノへのこだわりは言うまでもないのだが、それでいて一つ一つのモノが、彼の人格や感性を創り上げているような印象である。「モノ」というかたちあるものが、形而下でなく形而上で屹立し、一つの「ブランド」として成立しているようである。だから、取り組んでいることにも納得性や説得力が高く、心地良いと感じるのだ。インスタのフォロワーは7,000を超えている。私の地元の老若男女がフォローしても足りなかった。そう考えると只々恐ろしい、数軒先のご近所さんを誰が覚えているというのだろうか。

また、コロナウイルスで全国の卒業式などが自粛を迫られる中、わざわざ遠方に出向いて(しかも無償で)在校生の写真を撮られていたのには驚いた(目を奪われるポートレートはこちら)。私もカメラ好きの端くれとしてこの世に生を受けた自負があるが、発色が良くペールトーンが優美な写真は、さくらんぼの乗ったメロンソーダを、縁側にいる三毛猫を眺めながら、いつ弾け切ってしまうかわからない状態で意中の人と飲みほすような甘酸っぱささえ感じられる。「ごくりっ。」と喉の奥をゆっくりと流れる時間を味わうかのように、ぜひダイキさんの写真もゆっくりと眺めてほしい。もちろん私にこのような経験はない。

そして「僕らが纏うモノ」という活動も合わせて行っている。「着る」ではなく「纏う(マトウ)」だ。「着られる」人間の筆頭である私は、「マトワレル」という受動態が世間に普及していないことをいいことに、試着の際には「ちょっとマトってもいいですか?」と積極的に発言してみることにしよう。しかしながら、この風貌から繰り出される「マトウ」という言葉は、一種の嫌悪感すら植え覚えてしまう、やはり前言撤回。WEBサイトのデザインも、Youtubeチャンネルも、とにかく世界観が確立されている。このチャンネルは登録者3,000名を超えたようで、人生におけるほんの僅かな割合の睡眠を繰り返したら、1万人とか、10万人とかの数字を見るのだろうか。この、世間に評価され、次第に大きくなる対象を傍目で見る感覚はもうたくさんしてきた。有価証券の世界だと、グロース株がまさしくこれだ。成長に期待を寄せるグロース株は、肥大化した野心や止まることの許されない環境により、時たま成長の方向を誤り、再起を余儀なくされる。ただ、ダイキさん、およびそのパートナーたちで作り出すグロースは、確かな感性と信念に支えられており、その心配は杞憂となりそうだ。極端にレバレッジをかけているようにも見えず、実直にモノと向き合う姿勢は、本当に勉強になるし、そのプロフェッショナル性に感銘を受ける人も多いだろう。


さて、ダイキさんの話だけで、普段書くブログ5本分くらいの分量になったことに、当の私が一番驚いている。普段は「このWEBサイトは写真が中心ですてへぺろ」という免罪符にすらならないほどの予防線で、文才がないことを薄ら笑いされているであろうが、今回は少しばかり責任というものを覚え、「ふくはうち」というネーミングから何を伝えられるかを紐解いていくことにした。そんな中、A型ド真面目メガネちゃんの副産物があることに気づいた。それは、2011年から購入したモノ(服とかアクセサリーとか)を、ちまちままとめているExcelリストである。よくもまあ自分でも続くものだと感心する一方、おおよそ対人ウケは最悪な所作であることも理解している。普段は収集癖を満たすためだけに次々に追加しては過去を振り返ることもしないのだが、Excelの行番号が100を超えたそのリストをじんまりと振り返ると、今でも「永く」使っているアイテムがあり、寂寞な感情や胸が高鳴る瞬間が思い起こされた。一年毎に一品という暗黙ルールを添え、その一端を紹介することにしたい。


【2011年購入:オリバーピープルズのアイウェア】

オリバーのメガネはよちよち社会人になる前に購入したものである(年齢の詮索ほど時間の浪費になるものはない)。意気揚々と会社に付けていったら早々に公然で怒られたことを今でも覚えている。「こんちくしょー、人の個性の出し方は自由だろ!」とシュプレヒコールを心の中で上げていたら、その方とペアで仕事をすることに気づいて血の気が引いたことも記憶に新しい。とても中庸なボストンメガネで、今この記事を書いているときにもかけているくらい愛着がある。昨年LAに行ったときに念願の本店に訪れたが、日本より1.5倍くらい高くて拍子抜けした。

【2012年購入 レッドウィングのポストマンシューズ】

これは外勤のヘビーユースで使いたいとか、雨をそれなりに防げる(なんの勘違い?)みたいな目的と、「ポストマンシューズ」という響きに憧れて買った一品。ちなみに「ポストマン」という響きにシンパシーを感じているのは、カーペンターズの「Please Mr. Postman」という曲が好きだからだ。この靴は耐久性に優れ、それなりにお手入れも楽しめる。汎用性が高くスタイルを選ばないところで、製品としてもすごく優秀だと感じている。今流し始めたカーペンターズが終わったので、次に行くとしよう。

【2013年購入 ブルックスブラザーズのネイビーブレザー】

ブルックスブラザーズというブランドは3周くらい回らないとその良さがわからないブランドだと思っている。ちなみに私はとりあえず1周した自負はあるが、2週目を回りきらないうちに経営破綻が待っているかもしれない。いや、この1周したという感覚も、彼らの歴史の前では錯覚であるし、黄金の羊は私を嘲笑っているかもしれない。このネイビーブレザーは、「燻しボタン」という要素が決め手で当時購入した。当時はボーナスが出ると一つ高いものを買おうと決めていた節があったようで、リストを振り返るとだいたい夏と冬に高額出費が見て取れた。お金の使い方が若いと思う一方、純粋に消費を楽しんでいた感もあり、今ではなんとも言えない気持ちになる。

【2014年購入:デンツのペッカリーグローブ】

多分きっかけはPOPEYEというクーラブルな雑誌に掲載されていたみたいな理由だったと思う。今でこそあまり買わなくなったが、バックナンバーをいくつか保管しているのがポパイという雑誌だ。凛とした紳士が身につけるからサマになるグローブだと当時から気づきそうなのに、スーツに着られている自分にも似合うと思ったのだろうか。ただ、時間が経つにつれて、少しずつくすみも出てきてシワも濃くなってきた。するとこなれ感が出てあまり違和感がなくなってくる。いわゆる経年変化だが、このグローブはその素晴らしさを教えてくれた一品なのかもしれない。

【2015年購入:フォークのマーブルニット】

2015年といえば、内勤になって今までのスーツスタイルからカジュアルスタイルの需要が増した年であった。色んな人のインスタやブログを漁りながら、コスパを重視してオークションサイトでひたすら購入していたようだ。このフォークのニットもそのようなもののうちだが、とにかく着やすくさっぱりしていることで今でも愛用している。

【2016年購入 レオンフラムのパイロットバッグ】

このバッグはいただきもので、プライベートの想い出という観点で印象に残っている。フランスのブランドということもあり、カラバリも4種類くらいあって魅力的なのだが、どうしてもこのさっぱりしすぎないグレーとレザーのコンビネーションが欲しかった。ちなみに「パイロットバッグ」という商品名だが、「パイロット」という単語に惹かれた経験はまだない。その界隈の知識が浅はかということだろう。フランス本国の本店も訪れたが、店員さんがとても優しく好印象だった。しかしながら、外に出るとそれなりの治安が待ち構えているのがパリの特徴だ。

【2017年購入:エンジニアードガーメンツのファティーグパンツ】

エンジニアードガーメンツといえば、入りにくいお店のTOP5には入るような印象を常に持っていた。それなりに奇抜、店員も怖そう、青山のちょい外れに位置しているなど、足を伸ばそうというインセンティブが全く働かないのだ。まあそれがこのブランドらしいともいえる。しかし、このファティーグパンツだけは違った。シルエットに惚れ、若干ウエストが大きいものを最初は試着させられたのだが、勇気を振り絞り声をかけてサイズを落としてもらったことを今でも覚えている。買い物に慣れているつもりでも、バイアスがかかったお店での買い物は少々緊張するもの。しかし大概は杞憂に終わるのである。いわんやこのお店をや。

【2018年購入 アクアスキュータムのバルマカーンコート】

その昔、バーバリーのトレンチコートを購入し、コートで清水から飛び降りることはないと思っていた。そこからブルックスブラザーズのチェスターを購入し、マーガレット・ハウエルを購入し、予定調和のように裏切りを続けてきたところで、このバルマカーンコートを購入してしまった。旧モデルなのでオークションサイトで、この古めかしいアクアスキュータムが欲しかったのだ。なんの飾り気もなく、刑事ドラマのようにガバっと羽織るだけのこのコートが魅力的に映るようになった時、少し感性は円熟したものかもしれない。

【2019年購入:エルメスのマフラー】

「いつかエルメスを自分のお金で買う」。そう子供心に思うほど感性が発育していなかった幼少時代だが、さすがに社会人くらいにもなると一種の憧憬として、この思いは芽生えていた。そして、服好き有志の集まりでそれこそ「纏っていた」とある方のこのマフラーに一目惚れし、それから数週間後にはなぜか手元にあったというアイテムである。コロナ禍が続く昨今、このマフラーが活躍するシーズンにどうなっているかは皆目検討もつかないが、また外出が普段どおりできる日々を取り戻し、このマフラーを「纏える」日が来ることを願っている。


こういう振り返りをしながら、「モノ」と向き合って見ると、昔から失敗も多かったが、それなりに信念を持って「モノ」との付き合いができているのかとも思う。様々な思想に染まり、とあるときは「コスパ重視だ!」と、またとあるときは「イタリアクラシコ最高!」と、旗色を変えながら自身の感性を信じてモノを購入するのである。持論では、消費的な価値観と投資的な価値観はどんなジャンルにも併存すべきと考えているため、「ファストファッション最高」とか、「ノームコアはシンプルの極み」とか、「一生モノの服を」とか、特定の考えにひどく傾注するつもりはない。総じて必要だと思っていることは、「自分のアタマで考え」て、物事の決断をしたり、付随する「モノゴト」と向き合っていくかという尺度を持っているかだと思う。その観点で、今回ブロガーを集めてこの企画を立案した方、それに賛同しご自身の言葉で書き連ねた方、あわよくば参加している自分自身をリスペクトすべきなのかなと考えているのである(執筆中、深夜2時のボヤキ)


ここまでが「ふくはうち」という問いに対して、バトンランナーの「odakou10」として書き連ねた内容であった。そろそろ、次のランナーにバトンを渡さなければならない。ん、「そろそろ」渡すって?そりゃ次に渡す方は「SOROSOROさん」なんですから。

そろそろさんとの出会いは、第三回オボイスト会に遡る。「サカノボル」といっても去年の冬、つまりは約半年前の出来事で、完全に病み上がりの私をいたく心配してくれたナイスガイである。こんなルックスやコミュニケーションに難がある人間はどうしたって放って置かれるのが世の理というのに、いやはや感銘を受ける人間性である。そして、そろそろさんが手掛けているブログはより他の人にもわかるくらい凄みがある。まず何がすごいって、その投稿頻度と内容の深さ。「モノ」との向き合い方がすごく実証的で、実験的な営みをしていたり、必ずレビューが備わっていたりと、読者の理解度を高める工夫が素晴らしいといつも感じている。自己満で写真を撮って茶を濁す私とは大違いである。ご本人がどう思っているかはわからないが、このクオリティでいろんな情報を提供できることは、それだけで才能だと思っている。そんなそろそろさんのブログはコチラからどうぞ。

あまりハードルを上げると怒られそうなので紹介はほどほどにするが、「モノ」のカバー範囲が広く、向き合う姿勢や熱量も高く、いつも励まされている。そんなSOROSOROさんは何を書くのだろうか。おそらくもう書き終えているのではないかと勝手に思っている。では私は筆を置くとしよう(終)。


長文にも関わらず、最後までお読みいただいた稀有な方、ありがとうございました!唾棄すべき感情があれば、遠慮なくコメント欄までお寄せください(やっぱり怖いからやめて!)。ではまたの機会に!

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